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月刊おがわ通信

2015年11月号 地震保険について、もう一度考えてみましょう

地震保険について

もう一度考えてみましょう

10月に発覚した横浜市の傾斜マンション騒動は本当に驚きました。超一流企業の三井不動産グループが起こした不祥事について現在も確認調査が進められていますが、頻発する地震によって傾斜が進んだとも言われていますし、元々地盤が弱い場所にも関わらず杭打ちが足りなかったとも…。
もし自分の住んでいる家が傾いていたらどうでしょう? 毎日が不安で不安で怖くてたまりません。傾斜したマンションを立て直す方向で住民と交渉を行っているようですが難航しています。お住まいになられている方々にとって最良の解決がされることを祈念しております。
そこで今回は地震保険についておさらいをしたいと思います。

日本の地震保険は
実は国が協力して作った保険

生命保険や損害保険と違って、地震保険は1966年に制定された「地震に関する法律」に基づき、責任の一部を日本政府が引き受けている公共性の高い保険なのです。地震の多い日本では、地震による被災者の生活を出来るだけ早く復旧させる目的で作られました。このように地震損害について法律によって保険を作っているのは日本ぐらいです。
そのため、国内の地震保険はどこの会社で入っても同じ内容になっています。公共性の高い保険ゆえに、同じ条件で保険契約すれば補償される内容も保険料も全く同じです。つまり保険会社ごとの差はないのです。

火災保険に入らないと
地震保険には入ることができない

公共性の高い地震保険は、実は単独では加入出来ません。必ず火災保険とセットで入る事になっています。火災保険は会社ごとに補償内容、保険料が異なりますし、代理店などの担当者によるサービズも異なります。つまり地震保険選びは火災保険を選びとイコールになります。
いま火災保険にしか入っていない人は、契約の途中で地震保険に入る事も出来ますので、ライフラインの専門スタッフにご相談ください。地震保険に加入する前に、まず今加入の火災保険について点検して内容を確認しましょう。

地震保険の保険金額は
火災保険金額30%~50%の範囲

地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲で契約する事ができます。例えば火災の建物の保険金額が5,000万円、家財が1,000万円の人は、地震保険の建物が1,500万円から2,500万円、家財が300万円から500万円の範囲で設定できます。
地震災害は大規模で広範囲におよぶため被害金額も計り知れません。したがって火災保険のように新たに建物を調達することが目的ではなく、生活を継続するための資金を確保することが目的であることから、地震保険の保険金額には制限が設けられているのです。

建物5,000万円、家財1,000万円が
地震保険金額の上限

火災保険は、「建物」と「家財」を分けて契約する事になっていますが、地震保険も同じく「建物」と「家財」と分けて契約することができます。また地震保険の金額の上限も決まっています。建物が5,000万円で家財が1,000万円です。
家財については液晶テレビ、パソコン、家電、家具などの生活用動産が対象ですが、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、書画や、通貨、預貯金証書、切手、印紙などのほか自動車も地震保険の家財の対象とはなりませんので注意が必要です(火災保険では家財と別に明記することで保険の目的に入れることが可能)。

地震保険の支払いは3段階
全損100%、半損50%、一部損5%

地震保険は、建物、家財共に保険金を出来るだけ素早く公平に支払えるよう損害の程度を、「一部損」「半損」「全損」と3段階に分けています。地震保険の保険金額が、建物1,000万円の場合だと、損害が「全損」なら1,000万円、「半損」なら500万円、「一部損」なら50万円が支払われます。損害の程度が「一部損」に至らない場合は保険金は支払われません。
保険金によって引っ越ししたり住宅を修理したりと、いち早く日常生活を取り戻すことができます。

液状化で建物が傾いた場合でも
地震保険金が出なかった事がある?

東日本大震災で千葉県浦安エリアに多く発生した地震⇒液状化被害ですが、埋め立て地をはじめ、沿岸部や川沿いはもちろん、埼玉県のような内陸部でも被害が出ているのです。
しかし被害を受けても、国や県の支援制度の対象にならないケースもあったりと、まだまだ公的な補償も上手くいっていません。
さらに過去には液状化で家が傾いても、建物自体に壊れた所がないという理由で保険金が出ず問題になりました。液状化の場合、建物自体の損害がすぐに出ず、数年後、傾きによって建物に亀裂が入るなどの後遺症的な被害があることが後々発覚しました。
そこで一般社団法人日本損害保険協会では東日本大震災で起きた液状化の問題点を踏まえて、地震保険の液状化被害における査定方法の見直しを行いました。このおかげで、例えば基礎全体が3度以上の傾斜などの場合に全損となりました。不安を抱えたまま傾斜した家に住み続けることはできませんから、ありがたい話です。

地震保険の液状化の査定方法(出典:一般社団法人日本損害保険協会)


生活再建のために
地震保険には入るべき

交通事故や火災事故と異なり、大地震が発生すると非常に広い地域に大被害が出ます。地震は自分だけの問題でなく、自分が住むエリアが関わる自然災害です。もし建物が全壊した場合、地震保険金が全額支払われます。しかし、『地震保険金額』は『火災保険金額=家を建て直す金額』 の半分が上限ですから、全額出ても元通り再建することは出来ません。それでも住宅を失い、仕事場も失い、生活基盤が崩壊した状況でも、地震保険金があれば住宅ローンを返済したり、子供たちの教育費に充てたりすることができます。また仮に家を賃貸するにしても、やはり地震保険によって借りることが出来ます。
大災害によって何もかも失った時に支払われる保険金は、同じ家は買い直せなくても、家族の生活を再建するためにどのくらい大きな価値があるのか考えてみましょう。
いま一度、大きな地震がまた起こる前に、地震保険についてライフラインの専門スタッフと一緒に考えてみてください。ご来店お待ちしております。

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